TYPOlight CMSの創始者、Leo Feyer氏インタビュー

以下はCMS Criticに掲載された記事: TYPOlight CMSの創始者、Leo Feyer氏インタビューの翻訳です。翻訳の掲載にあたってCMS Criticの許可を受けています。快く許可していただいたCMS Criticに感謝します。

また、インタビューはTYPOlightの頃のもののため、リンク先の名称は typolight.org となっていますが、リンク先は現在のContaoの対応するサイトに修正してあります。

2010年2月21日

TYPOlightは人気上昇中のオープンソースのコンテンツ管理システムで、Leo Feyer氏を開発者として産み出されました。私たちはLeoとはなす機会を得て、プロジェクトと将来について話し合いました。

もし、このプロジェクトのことを聞いたことがないようでしたら、私たちのTYPOlightのレビューを読むか、関連したTYPOlightの記事を調べて、さらに知ることができるでしょう。


CMS Critic(CC):
あなた自身と経歴について少し話していただけませんか。

Leo Feyer(LF):
私の名前はLeo Feyer、32歳のドイツのミュンヘン出身のソフトウェア開発者です。iNet Robotsという小さな会社のオーナーで、この会社はWebホスティング、ソフトウェア開発、さらにTYPOlightサービスも提供しています。
私はオブジェクト指向のJavaプログラミングを学生時代に学び、その可能性に強い印象を受けました。PHP 4、そのときの現行バージョンのPHPは、オブジェクト指向プログラミングをあまりサポートしていませんでした。それで、Javaから学んでいた私には、TYPOlightをPHP 5で書かなければならないことはわかっていました。PHPはJavaと同じような機能を提供するに至っていませんが、今度のPHP 5.3と6のリリースによって追い付くことでしょう。

CC:
ウェブサイトによると、2004年頃のオープンソースに満足できなくなってTYPOlightを作成されたということです。特に不満だったのは何でしょうか?

LF:
まず第一に、今日と比べるとアクセシビリティや標準に準拠したウェブサイトを作成できるCMSが殆んどなかったことです。確かに巨大なシステムにはプラグインがありましたが、私はウェブ標準とアクセシビリティは基本的なコアの機能であって、単にアドオンで提供されるべきものではないと思いました。

第二としては、専門的なシステムは学習カーブがたいへん険しかった(今も険しい)ことで、それは開発者だけではなくデザイナにとっても当てはまることでした。完全に理解するのに数週間がをかけて必要としていて、私はすぐに顧客やデザイナが単にウェブサイトを作成するためだけに複雑なCMSを学習するのに時間を費やせない、費やしたくないだろうことに気が付きました。

それで、すべての強力な機能を備えたながら、もっとも単純に可能な方法で実装して、使い勝手と理解のしやすさを達成する「実用本意」のシステムを作成しようと決意しました。

CC:
TYPOlightを作成しようとしたときの第一の目的は何でしたか?

LF:
強力ながら直感的で学びやすい、アクセシビリティと標準に準拠したウェブサイトを作成できるCMSを作成したいと思っていました。あまりに多数の抽象化したレイヤーや、専門的なユーザが学習するのが困難で非専門的なユーザが理解することができない独自のスクリプト言語を使用すべきではないと考えました。

CC:
私たちの最近のレビューで、ユーザ層のかなり多くの部分は非英語圏と述べましたが、ユーザがもっとも多く分布しているのはどこでしょうか?

LF:
間違いなくドイツ語を話す国々(ドイツ、スイス、オーストリア)でしょう。TYPOlightは様々なドイツ語の雑誌で取り上げられ、2010年末にはTYPOlightのドイツ語の4冊の書籍と2つのビデオ教材が揃うでしょう。これがドイツの外部よりも、多くの人々がTYPOlightに注意を向ける理由です。

CC:
システムに何か後悔することはありますか?  何かよりよい方法でできたであろう、または変更したいといった点はありますか?

LF:
ユーザーとメンバー(バックエンドととフロントエンドのユーザー)の区別は多くの利点がありますが、同じユーザーがバックエンドとフロントエンドの両方にアクセスしたいといった場合には最善の方法ではありませんでした。また、かなりの数のユーザがページとアーティクルが同じツリーではなく、別々のモジュールとなっていることを理解するのに苦労しています。両方の課題は次のメジャーリリース(TYPOlight 3)で変更されることになりそうです。

CC:
2007年に、TYPOlightPackt Publishingの「もっとも有望なオープンソースCMS賞」の2位に選ばれました。そのときから何か進展はありますか?

LF:
「ベストなオープンソースのPHPによるCMS」カテゴリの最終の5つに、Drupal, WordPress, Joomla!, MODxと共に選ばれました。2009年に賞を取ることはできませんでしたが、これらの定評のあるシステムと共にTYPOlightのような若いプロジェクトが挙げられることをたいへん光栄に思います。

CC:
TYPOlightで構築されたもっとも好きなウェブサイトはどちらですか?

LF:
これはとても答えるのが難しいです。なぜなら、TYPOlightで動作しているたくさんのウェブサイトのほんの少ししか知らないからです。(ドイツ語圏の国の)なじみ深い企業と著名な運動選手が、最近ウェブサイトをTYPOlightでリニューアルしました。これはたいへん誇りに思います。その上、typolight.orgは確実に私のお気に入りのウェブサイトの1つです。なぜなら、システムの能力を示す良い例となっているからです。

CC:
TYPOlihgtを使用している、もっとも大規模なサイトはどちらでしょうか?

LF:
私は約250,000ページの35のウェブサイトを、専用のサーバクラウドにインストールした1つのTYPOlightで取り仕切っているプロジェクトを知っています。結局、殆んどはハードウェアの問題となり、その競争相手の殆んどに比べるとTYPOlightに少ないリソースしか必要としないので、実際のところの費用を減らす助けとなるでしょう。

CC:
この1年の間に、TYPOlightで成し遂げないことは何でしょうか?

LF:
TYPOlightの認知度を向上させたいと思います。特にドイツの外部で、そして国際的なコミュニティへと。アプリケーション自身に目を向けると、2010年はTYPOlight (モバイルWeb)で移動端末向けのウェブサイトの作成と、TYPolight(ソーシャルWeb)でTwitterとFacebookのサービスの統合に焦点を当てています。

CC:
近々に追加される機能や変更を少し聞かせていただくことはできますか?

LF:
通常のブラウザを対象としたウェブサイトに加えて、TYPOlightが移動端末向けのウェブサイトを作成できるようにしたいと思っています。これは特別なスタイルシート、異なるコンテンツ要素、さらには別のサイト構造を使用して達成できるでしょう。また、ニュース記事やイベントを携帯電話を使って作成する方法も探しています。これは、携帯電話のための別のインターフェイスを追加するか、iPhoneのネイティブ・アプリケーション等が使用できるXML-RPCインターフェイスを作成することで達成できるでしょう。

最後に、ニュースやイベントの配布者をバックエンドに追加して、Twitter, Facebook等からのニュース記事やイベントを自動的に公開したいと思います。

CC:
システムへの貢献に興味がある場合は、どうするのが最良の方法でしょう?

LF:
アプリケーション自身に貢献する最良の方法は、TYPOlightのエクステンションを作成することです。TYPOlightは多数の動的な設定を伴った強力なAPIや、プログラムの流れを殆んど様々な面でカスタマイズできるようなコールバックやフック関数を提供しています。もし、新しいフック関数が欲しい場合は、dev.typolight.orgのチケットシステムでリクエストできます。

TYPOlightプロジェクトへ貢献する最良の方法は、コミュニティに参加してできることを知らせて下さい。私たちはTYPOlightのコアと300以上のエクステンションを、異なる言語への翻訳を支援してくれる翻訳者を常に探しています。また、ブログや雑誌にTYPOlightに関する記事を書いてくれる執筆者やジャーナリストを探しています。そして、開発者となると、さらにもっとできることが広がります。例を挙げると、他のCMSからTYPOlightにコンテンツを取り込むツールを書くとか、dev.typolight.orgのチケットシステムに登録された様々なアイデアの1つを実装する等です。

CC:
Leoさん、今日は時間を割いてくれてありがとうございます、そしてプロジェクトの成功を祈ります。読者の方は、TYPOlightプロジェクトのウェブサイトhttp://www.typolight.orgを訪れると、この偉大なシステムについてさらに学ぶことができるでしょう。

LF:
あなたの支援にたいへん感謝します、そして引き続きよろしくお願いします。:)